中村順平『東京の都市計画を如何にすべき乎』の本物を手に取る快感
ゴールデンウイークまで遡らなければならない。
忙しくて、すっかりブログのネタとしては使い損ねていたが、ゴールデンウィークを利用して、神戸を訪れた。
目的は、神戸や淡路島にある震災関連施設を訪れることだったが、そのついでに、神戸市立中央図書館に寄ったのだ。
この図書館は、戦前の極秘地下網計画・・・ではなく、中村順平『東京の都市計画を如何にすべき乎』(洪洋社)を所蔵していて、一般市民が実物を手に取ることができる唯一の公立図書館である。
東京・永田町にある国立国会図書館にもこの本が所蔵されているが、国会図書館の場合はマイクロフィッシュで、実物を直に触ることはできない。このマイクロフィッシュというのが曲者で、読みにくいといったらありゃしない。手間もかかるし、目が疲れる。
国内では、4カ所の図書館で同書を所蔵しているが、公立図書館は、神戸市立中央図書館と国立国会図書館の2館のみである。
わざわざ、同書を触りに神戸に来るだけのパワーはないが、たまたまゴールデンウィークに神戸を訪れる機会に恵まれた。
神戸市立中央図書館は、地下鉄大倉山駅から徒歩数分、大倉山公園の一角にある。
同書は、開架ではなく、書庫にあるので、まずは3階の相談カウンターへ。所定の用紙に必要事項を記入して、同書を請求する。カウンターのおばさんが優しく対応してくれた。
待つこと、5分あまり。
ついに、『東京の都市計画を如何にすべき乎』がオイラの手元に届いた。
いかにも古い書籍らしい香り。これがたまらん快感だ。てっきりボロボロなのかと思いきや、保存状態は思った以上によろしい。とても1924年に発行された本とは思えない。
最初のページを開けると、まず地図が折り込まれている。
秋庭本ではおなじみ、「大東京市復興計畫案 平面圖」(実物は左右逆から書いてあるよ)である。
右端が微妙に破れかけているので、そーっと広げる。
やっぱり、モノクロなのだね。秋庭先生はモノクロコピーマニアなので、もしかしてカラーってこともあるかなと思ったんだが。
実は、この平面図が当時最初に発表されたときは、カラーだった。
秋庭先生のコピーでは分かりにくいが、山手線に沿って敷かれている広い道路、ここには「防火壁」と書いてある。
中村は、この道路を「周壁」として、市を分割し、外側には郊外田園都市をつくる。内側では、不燃性の建物しか認めないが、外側では木造建築を許すべきと書いている。
おもしろいのは、この中村案の元となっている地図は、荒川が完成していないということだ。中村自身は、荒川の完成を前提に計画を練っている。
大きさは、B4版程度。この折り込みの平面図は、現物を縮小したものではないだろうか。中村は最初からモノクロで平面図を書いたわけではないから、カラーの本物があるはずなのだが、現存しているのだろうか。
最近発売された秋庭本漫画版『東京地下迷宮の謎』でも、中村順平の『東京の都市計画を如何にすべき乎』が登場する。
書かれている内容が事実かどうかは、以下のエントリーを参照していただきたい。
ル・コルビュジエ、中村順平、後藤新平を結ぶ線は、このシリーズでほぼ網羅している。
オイラは、このシリーズで、地下の秘密を隠蔽しているのは秋庭先生だと訴えた。
中村順平がパリで目撃したのは、『輝く都市』ではなく、『300万人のための現代都市』である。『帝都東京・隠された地下網の秘密2』の新潮文庫版では、秋庭先生により両者がすり替えられていた。ところが、漫画本では、『輝く都市』ではなく、『輝くパリ』に変わっている。ちなみに、最初に発売された『帝都東京・隠された地下網2』の洋泉社版では、『輝くパリ』だった。
洋泉社版の発売時、ル・コルビュジエの作品に『輝くパリ』はないとネット上で批判を浴びた。すると、秋庭先生は文庫版で、『輝く都市』へと修正した。ところが、某ブログが中村順平が目撃した作品は『輝く都市』ではない、そもそも『輝く都市』はパリの計画ではないと指摘すると、漫画本では『輝くパリ』へと戻してしまった。
いずれにせよ、コルビュジエには『輝くパリ』という作品はなく、今回も秋庭先生は自らの誤りの隠蔽をはかったということである。
中村順平の復興計画案は、結局帝都復興にはまったく反映されることなく、人々の記憶から忘れ去られてしまう。
神戸市立中央図書館の書庫に、中村順平の夢が眠っている。唯一実物に触れることができる場所である。オイラは、それを1ページずつ丁寧にめくりながら、当時の帝都復興の息吹を感じていたのだった。
地下のオカルト作家・秋庭俊先生が、一貫して人格をねつ造し、著作権を蹂躙し、時には勝手に作家に、まるで自分の著作のように横流しし、どんなに論破されようとこだわり続ける建築家・中村順平。おそらく秋庭先生が著作で書かなければ、日本人はとっくの昔に忘れ去っていたであろう、地味な建築家の一人に過ぎない。
だが、あらためて、オイラは、中村順平が伝えようとした復興への意志を感じて、ちょっと感動していた。
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コメント
オハヨーございます。
原本御覧になっていましたか。
日本建築士 佛國グロモール氏 エキスペール氏門弟にして佛國建築士D、P、L、G 中村順平氏の「東京の都市計畫を如何にすべき乎」
私もそんなに遠くない所に住んでいたんですが、大倉山まで行くのは矢張り手間で、出張の折に確認に行きました。
丁度メフィスト掲載直後で、1階の公衆から講談社へ「盗用じゃないか」と電話を入れた記憶があります。
投稿: 陸壱玖 | 2008年9月 7日 (日) 10時17分
こんばんは。
国会図書館ですでに既読の書籍とはいえ、やはり実物を手に取ると興奮しました。
秋庭先生はきっとモノホンを手に取ったことないんでしょうね。国会図書館でコピーした「平面図」を、どうだ、極秘資料だぞ、入手したぞと、自慢しているんだろうから、幸せな人だなーと思います(笑)
投稿: mori-chi | 2008年9月 8日 (月) 00時09分
経済に於けるパックス・ロマーナな話には
よう付いて行けんけど、
目玉の師匠のように、こちらは、小さなことからコツコツと。
「こんなん出ましたけど」
って言う、占い師のオバはんが居ましたね。
で、こんなん出ましたけど!
http://www3.atwiki.jp/619metro/pages/122.html
さて、ご本尊のサイトでの宣伝はいつになりますか(w
投稿: 陸壱玖 | 2008年10月 1日 (水) 23時17分
おやおや、またコピー本ですか。しかし、秋庭先生、楽な作家人生をおくってますね〜(笑)
「最新築城術」って・・・400年なんですよね。最新ですか。てか、現代で築城する必要ないですよね。
しょうがないなー。
いっちょ、つきあいますか、秋庭先生。
投稿: mori-chi | 2008年10月 1日 (水) 23時35分
コピー本と言うよりは、上記の通り、アナログダビング本
と言った方が相応しいでしょうね。
例えば、敗戦間際の京成の上野地下線では、(国鉄の優等車両ではなく)京成電車の車両をホテル代わりってな具合。
京成の通勤車両をホテル代わりにしてもちっとも嬉しくないんじゃないのかな?公務員(発足したばかりの運輸逓信省のお役人)は。
見たいな、突っ込みどころ満載と言うより、突っ込みどころしか無い駄ビング本。昔、裏の業界では、売り物になるのは4擦りまでと言われてましたけど、秋庭さん6擦り目位だもんなぁ。
投稿: 陸壱玖 | 2008年10月 2日 (木) 00時53分
ゲットせねばと思いつつ、やたら忙しい昨今。
秋庭先生、前から築城なんたらをやりたいっておっしゃってましたよね。自分が築城の専門家だと思っているのが痛い。
また、五角形とか、直線とか、いらない前提を勝手に振りかざして自爆してるんでしょうね(-.-;)
投稿: mori-chi | 2008年10月 2日 (木) 10時11分
アハハ!
ご推察の通り、まるでテレ東の日高某氏の如く五角形・五角形と頻出してますね。
最近は、ヒッキーが更に高じられたのか、ネット検索を覚えられたようで、結果、築城っても、あまりの薄っぺらさに、パリ市民じゃないけど茫然自失しますよ。別の意味でしか期待はされてないと思いますが。
投稿: 陸壱玖 | 2008年10月 2日 (木) 10時37分
やはりそうですか(笑)
築城は五角形しかない、と、ありもしない前提をつくるから、リアリティがなくなるんですよ。城郭は六角形でも四角形でもいいし、実際いろいろあるんですが、五角形と言い張る。すると、限定的にしか仮説があてはまらないのに、最初の仮説を一般化してしまい、すべてにあてはめようとする。そして、自爆(爆)
こんな幼稚なことを、自称ジャーナリストがやるから、痛い。
投稿: mori-chi | 2008年10月 2日 (木) 10時58分