【秋庭系東京地下物語'07《初恋》】(延長戦2)
さて、このブログの読者はもう大丈夫だよね。地下のオカルト作家・秋庭俊先生が「GHQの地図」を持ち出してきても、陰謀の欠片も感じることはない。
だって、そもそもGHQの地図ではないし、アメリカ国立公文書館が50年後に公開したものでもない。
L774は、国立国会図書館で閲覧できる。
L874は、都立中央図書館で閲覧できる。
ちなみに「公文書館」とは、極秘資料を扱うだけの機関ではない。秋庭本を読んでいるとまるで極秘文書の公開を担当している部署のように思えてくるが、公文書館では政府の秘密も陰謀も関係ない文書がたくさんある。膨大な公文書を分類して保管しているだけである。その中に、戦後何十年も過ぎて公開された文書も含まれる。
てか、秋庭先生、公文書館なんて行ったことないでしょ。だって、公文書館でしか手に入らない資料なんて、著作には1つも出てこないもんね。
前回から引き続き、『帝都東京・隠された地下網の秘密』(新潮文庫)より引用。
北緯一四二万ヤードにあたる緯線が東京駅を通過している。(P359)
どうして秋庭先生が突然、北緯142万ヤードを持ち出したのか、読んでいる人にはさっぱり分からなかった。100とか200とかキリの良い数字を出せば、「なるほど偶然としては出来過ぎだ」と言えるが、142なわけで。
その答えが、この画像にある。
この地図には、黒いグリッド線と青いグリッド線が書かれている。黒はヤード、青はメートル。黒は1000ヤードごとに線が入り、1万ヤードで太線が入る。青は1000メートルごとに線が入る。
黒の太線は縦が68万ヤード、横が142万ヤードである。
これは暗号があってもなくても、避けられないでしょ。1万ヤードごとに必ず太線になるんだから、そこに極秘地下鉄があってもなくても、そこには142万ヤードがくる。避けられないことが暗号では、暗号の意味がない。暗号の書いていない地図と暗号の書いてある地図が同じなら、暗号の意味がないからだ。
もしも1万ヤードごとに太線にすることが「意図」だとしても、その意図には意味がない。暗号を書く認識のない人間が地図をつくっても1万ヤードごとに太線とするという発想をする可能性が高いからだ。2500ヤードごととか、3000ヤードごとだとしたら、暗号として意味を持つかもしれないが、1万ヤードごとでは誰でも無意識にやってしまう。
仮にこれが極秘地下鉄を示す暗号だったとして、この142万ヤードの1万ヤード前後には同じように太線が走っている。これは極秘地下鉄なのだろうか。1万ヤードごとの太線の四角は、地図が続く限り永遠に連続している。極秘地下鉄をどうやって識別するのか?それとも、1辺が1万ヤードの正方形の極秘地下鉄路線が日本中に広がっているのか。
つまり緯度、経度を示す線は、暗号とは関係ない。
続いて、『帝都東京・隠された地下網の秘密2』(新潮文庫)からの引用。
GHQの諜報報告「インテリジェント・リポート」が245頁にある。(P243)
これがGHQが作成した地図ではなく、「Intelligence Reports」ではないことは前回書いた通りである。
終戦当時、この地図は極秘扱いにあったが、五十年という期限を過ぎて公開された。(P243)
これも前回書いた通り、昭和の時代に都立中央図書館の所蔵になっており、50年後に公開された地図ではない。
黒く塗られているところは「ミリタリー・インスタレーション」、つまり、軍関連施設である。防空壕があった小学校も含まれている。(P243)
地図のどこにもそんな記述はない。地図の凡例には、黒く塗られているところが何なのか記述がない。この地図で「school」と記述された箇所が、小学校なのか、中学校なのか、高校なのかは、地図を見ても識別不能である。防空壕があるのかどうかも分からないが、戦時中に防空壕のない小学校なんてなかったはずである。
航空撮影されていない道路は、道幅は保証しない。
そんな断り書きがある。(P243)
そんな断り書きは書いていない。これも前回書いた通りである。
もともと、航空写真で製作された地図だから、地上の道筋を変えるのは難しい。そこに地下を書き込むとすれば、初めは色分けになるはずである。白いところに地下があると私は思う。(P243)
この地図の凡例をもう一度見てもらいたい。
秋庭本ではグレーと白に色分けされているが、実際にはグレーの部分は薄い赤色である。凡例を見ると、薄い赤色の部分は「Built-up area」とある。つまり、密集市街地である。
この地図の荒川を渡ると、真っ白な土地が延々と続いている。おそらくそこは、田んぼや畑、山々が広がっている。秋庭先生の説が正しいとすると、東京の郊外には隙間なく地下が広がっていることになる。田んぼの下も、山々の下も、ありとあらゆる場所、しかも市街地を除いて。
地図上の文字はできる限り道路をまたがない。線路をまたがないのは不文律である。(P244)
秋庭先生が自著のあちこちで紹介した通り、複数の出版社が地図を自由奔放に、読者にわかりやすく作成している。文字が道路をまたぎたいときはまたぐし、線路もまたぎたいときにはまたぐ。こんな約束事、別に破ってもいいんだということを、秋庭先生は自ら紹介してきてくれている。
GHQは地上の地図には手を加えていない。線路を書き入れることもしていない。(P246)
この地図を作成したのはGHQではないが、AMSもやはり地上の地図には手を加えていないし、線路を書き入れることもしていない。当たり前だ。ありもしない線路を書き加えたら地図として使えない。
水の下に狭軌の線路があるときは、そのわきの道路を使って表している。(P246)
では、水の下に狭軌の線路があるのに、そのわきの道路に路面電車が走っていなかったらどうする?秋庭先生は、「GHQは地上の地図には手を加えていない」と書いている。「水の下の狭軌の線路」を表すのに、そのわきの道路にありもしない線路を書き加えたら、矛盾してしまう。
ちなみに、凡例によると、「桜田門の鉄道のマークが切り替わる場所」(P246)のうち、西側は「In street or road」で、東側は「Narrow gauge or light, double track」である。
(つづく)
秋庭系東京地下物語'07《初恋》
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コメント
>北緯142万ヤード
実はこれも怪しい、詳しくはここを
http://www3.atwiki.jp/619metro/pages/18.html
と援護射撃だか、宣伝だか判らん物(笑)を提供しときます。
>北緯
ありえねぇ。(笑笑)
投稿 陸壱玖 | 2008年1月11日 (金) 00時01分
おはようございます(^-^)/
そうなんですよね、メートルのほうはともかくとして(微妙ですが)、ヤードはありえないんですよ。東京の北緯は35度ですし。北緯142万ヤードだと、とんでもない場所になっちゃいますよね(+_+)
それこそオカルト作家なら「暗号だっ!」って騒ぐところなんですが、秋庭先生はマジで北緯142万ヤードだと思ってるところがおもしろいです(笑)
投稿 mori-chi | 2008年1月11日 (金) 07時22分
最初あれを2ちゃんに挙げたとき、L-874には注記欄に142万ヤードの基点について書かれているものと認識していたのですが。
有りませんでしたか?
まあ、明日にでも確認しにいってみますが。
秋庭さんが可笑しいのは、経線は無視って言う、例によっての都合のエエ所取り、つまり、地図のグリッドの成り立ちすら理解してないのに、読図の第一人者を気取るところですか。
地下妄を卒業したら、地図について書きたいとか何処かで書いて居られだが、どんなものになるか、先が楽しみ、じゃなかった思いやられますね。
秋庭陰謀史観の需要がありそうなだけにね。
投稿 陸壱玖 | 2008年1月11日 (金) 19時17分
こんばんわ。
お疲れ様です。明日は雨が降って寒くなるという予報が出ていますので、お気をつけていらっしゃいませ。そう言えば、Webラジオとかで言っていた、角川から出す本ってどうなったんでしょうね。角川の編集がビビったのか、もともと秋庭先生の妄想だったのか。楽しみにしているんですけどねー。
投稿 mori-chi | 2008年1月11日 (金) 23時26分