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2008年1月11日 (金)

【秋庭系東京地下物語'07《初恋》】(延長戦3)

前回の(延長戦2)のコメント欄でご指摘いただいた142万ヤードの起点について、オイラなりに欄外の注釈を読んでみたけど、英語なんでさっぱり理解できない。著作権の関係上、半分しか複写できないので、注釈の一部はコピーしていない。もしかすると、複写していない部分に書いてある可能性がある。かも。

注釈の一部をここに書いておきたい。

TRANSVERSE MERCATOR PROJECTION

HYDROGRAPHIC DATUM:APPROXIMATE LEVEL OF LOWEST LOW WATER

BLUE NUMBERED LINES INDICATE THE 1,000 METER UNIVERSAL
TRANSVERSE MERCATOR GRID.ZONE 54.BESSEL SPHEROID

BLACK NUMBERED LINES INDICATE THE 10,000 YARD WORLD POLYCONIC GRID,BAND 3 N.ZONE A

THE LAST THREE DIGITS OF THE GRID NUMBERS ARE OMITTED

Paddy fields are generally subject to inundation; however,they may be seasonally dry.

USERS NOTING ERRORS OR OMISSIONS ON THIS MAP ARE URGED TO MARK AND FORWARD DIRECTLY TO COMMANDING OFFICER,ARMY MAP SERVICE,WASHINGTON,D.C. MAPS SO FORWARDED WILL BE RETURNED OR REPLACED IF DESIRED.

APPROXIMATE MEAN DECLINATION 1952
FOR CENTER OF SHEET
ANNUAL MAGNETIC CHANGE 2' WESTERLY
Use diagram only to obtain numerical values.
To determine magnetic north line,connect the pivot point "P" on the south edge of the map with the value of the angle between GRID NORTH and MAGNETIC NORTH ,as plotted on the degree scale at the north edge of the map.

久しぶりに『帝都東京・地下の謎86』(洋泉社)をいぢってみたい。

パレスサイドビルの周辺には太い斜線が引かれている。
戦前、竹橋には陸軍の築城本部があった。防空壕などをつくっていた部署である。市谷の士官学校にあった陸軍参謀本部の防空壕も、霞ヶ関にあった海軍司令部の防空壕も、築城本部が建設したものである。(P16)

L874a 確かにパレスサイドビルの部分には斜線がある。でも、この斜線は、地下を表すものではない。

よく地図を見ると、地図の斜線部分には「Ruins」という単語が記されている。

残骸、廃墟という意味がある。

この地図は終戦直後のものだから、これが空襲によって壊れた建物を指していることは容易に分かるだろう。

地下とは何の関係もない。

東京ドームのグラウンドの下には、競輪のバンクが完成しているのだという。(略)当時後楽園には陸軍の砲兵本廠があった。(P18)

L874b こんなことを説明するのに、何故かこの地図が使われている。分かってらっしゃると思うが、この地図には「後楽園競輪場」は存在していない。地図が製作された1952年の段階では後楽園競輪場は存在していたはずだが、この地図にはない。この地図の航空写真の撮影が、競輪場建設以前に行われたのだろう。

ではこの丸いのは?

これは後楽園球場。野球場である。

オイラの世代は、読売ジャイアンツが後楽園球場で試合をしていた記憶が鮮明に残っている。競輪場のあった場所は、競輪が休止になったあと後楽園プールに改装され、その後東京ドームが建設されている。

両国国技館の地下には焼鳥工場があり、おみやげ用の焼鳥を調理、製造している。(略)先代の両国国技館は一九四四(昭和十九)年に軍部に接収され、風船爆弾の工場になっていた。翌年十月、今度はGHQが国技館を接収し、七年間、解除していない。(P30)

L874c 現在の両国国技館は、JR両国駅の北側にあり、旧両国国技館とは別の場所である。相撲と焼き鳥は、相性がよい。鳥は手をつかないからだ。両国国技館では、縁起のいい食べ物として人気が高い。もちろん地下にある工場も有名である。

2つの両国国技館は場所が異なっている。にもかかわらず、いっしょくたに扱っている。後楽園競輪と同じ。

まったく位置関係が異なる2つのものを文章をつなげることで、いかにも関係があるかのように印象操作している。

ちなみにGHQは旧両国国技館のことを「メモリアルホール」と呼んでいて、改装して大相撲の開催を認めたこともある。この地図には「メモリアルホール」とは書いていないが、考えてみれば地図が作成された1952年にはGHQの接収は解除され、民間企業がスケートリンクを開いている。

「インテリジェント・リポート」の暗号は、私は、発音にあるのではないかと思う。「KU」という発音と「PARK」や「SCHOOL」の「ク」、また、「SCHOOL」「HOSPITAL」の「ル」がうまく結べれば、戦前の地下網が浮かび上がるのではないだろうか。(P61)

L874e 「PARK」の「ク」と、「SCHOOL」の「ク」では、発音記号が異なる。「PARK」の「ク」は子音のみだが、「SCHOOL」の「ク」は子音と母音の組み合わせで発音する。

発音でこれらが結べるという発想は、カタカナ英語を使っている日本人にしかできない。「PARK」の「K」を、「ク」と聞き取ることができるのは日本人にほかならず、GHQにはできない、とびきり高度な暗号である。

ちなみに「インテリジェント・リポート」でないことは前回、前々回に述べた通りである。

一般参賀が行われる広場は、一万五千平米。普通の野球場よりひとまわり大きい。この広場の下には、大型専用の地下駐車場がある。地下駐車場の場合、大型専用というのは、天井が高いということである。(P68)

L874d 一般参賀が行われる広場には、地下駐車場がある。でも「大型専用」ではない。「大型でも使える」だけである。でも、「大型」というのは、秋庭先生にとって、とてつもなく高いものらしく、この項目ではひたすらオカルトに走っている。

皇居に自動車で行って、何かおかしいだろうか。宮中では晩餐会をはじめとして様々な行事が行われ、外国の国賓が招かれる。馬車で迎えてくれるのは最初だけで、次からは自動車で行き来しなければならない。

外国の大使が徒歩で来ることは、あまり考えられない。行事が終わるまで自動車はどこに止めるのだろうか。google mapで衛星写真を見れば分かるが、「航空撮影ができる」皇居の駐車場なんて少ない。

ところで、秋庭先生は、この本にAMSのL874を掲載するにあたり、複数枚の地図を1枚につなぎ合わせて掲載している。

例えば、後楽園の部分をよくご覧いただきたい。左4分の1くらいのところで微妙に地図がずれている。上記の地図をご覧いただきたい。実際にはそこで地図は途切れていて、この西側の地図へと続いている。

これは、一般参賀の部分の地図も同じ。上記の地図と、本に掲載された地図を見比べると、本の地図が2枚の地図を合体させていることが分かる。

こういうことを、まるで何事もなかったようにやっている。

『新説東京地下要塞』(講談社)に掲載されたAMS-L874の地図も、2ページ見開きで掲載されているが、1枚の地図ではなく、4枚の捨身を合体させたものである。

この地図も作成された当時はGHQの極秘資料だったが、二〇〇三(平成一五)年、一般に公開された。おそらく私たちに地下の真実を語る唯一の資料ではないかと思う。(P234)

この地図がGHQの地図ではないこと、一般に公開されたのは2003年ではなく、昭和の時代にすでに都立中央図書館に所蔵されていたこと、もうくどいように繰り返した通りである。

さて、延長戦はこの辺でひとまず終了である。

L774にしろL874にしろ、一般人でも簡単に手に入る資料なので、検証を試みたい方はぜひとも自らの手にとっていただきたい。

オイラは英語がさっぱりなので、もしかするとオイラより多くの情報を得ることができるかもしれない。

「GHQの地図」をめぐっては、オイラ自身も認識を深めていく過程で、間違った仮説も立てたことがある。これはオイラのエントリーを振り返っていただければ分かるだろう。真実は、たった一人の英雄で暴かれるものではない。多くの人の検証があってこそ、正しい認識にもたどり着ける。

今回で延長戦は終了。まだ分からないこともあるが、残りは2008年の宿題、後世への遺言として残しておきたい。

秋庭系東京地下物語'07《初恋》

第1話 第2話 第3話 第4話 第5話 第6話

延長戦1 延長戦2 延長戦3 延長戦4

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コメント

検証お疲れさまです。最近ブコフで文庫1、2巻買い戻しまして(笑)改めて読み通してみました。…一本の地下道も見えません。論旨に一貫性がなく、文章として成り立っていないんですね。
でも一時的とはいえ、はまりかけてしまった。漠然とした仮説に参考資料の語句が当てはまるともう分かったような気がして漠然としたまま執筆していく…読者も一緒になんとなく分かった気になる…あまり人のことは笑えません。小論文の勉強でもしてないと、似たようなものを書いてしまう危険性が。作文苦手な私は逆の意味で親近感を覚えていたのかも。
とはいえ、オカルトを野放しにしておくのは良くない。秋庭新作を待望していいものかどうか!?

「そらめく」のブログは本当に良文揃い。一度は紙媒体でも拝見したいものです。

投稿: くびきのコッペル | 2008年1月13日 (日) 18時31分

こんばんは。

誰でも一度はハマりかけた経験、ありますよね。真面目な人、正義感の強い人ほどハマりやすいんだと思います。

このブログのように秋庭本を批判しているサイトを読んでみては「こいつら、分かってねえなあ」なんて嘆いてみたりして、「秋庭さん、俺はあんたのこと分かっているよ」と自分だけが真実を理解しているような気分に浸る。

そーゆー「ジャーナリズム気分」に浸らせるイデオロギー装置がないと政権与党も厳しいんでしょうね。だから、「泳がされている」んだと思います。オカルトが流行るご時世ってそういうことじゃないかと。

投稿: mori-chi | 2008年1月13日 (日) 23時03分

重宝な地図
 地下網の秘密「2」のあとがき、しかも後書きの追記ぃ?になぞらえれば(准えられたくないとは思うけど)、差し詰め、

 mori-chiさんのそらめく意思に導かれ本文ではAMSL874の実相を克明にたどった。

てなことになるのでしょうか。

http://www3.atwiki.jp/619metro/pages/100.html

全十七枚(欠が一枚あるようですね)のうち四枚分カラーでコピー撮りました。文庫本4冊分がコピー代に消えました。
麻布十番の韓日館で豪勢なランチが食べられたのに(グスン
なお、著作権法、測量法いづれも引っ掛からないと言うことで、全面複写可でした。

投稿: 陸壱玖 | 2008年1月14日 (月) 01時35分

お疲れ様でした。

何と、著作権法、測量法、いずれもひっかからないと?

都立図書館と国会図書館で対応が分かれましたね。L774を国会図書館で複写する際には「半分だけ」という、他の地図と同じ条件を課されました。

今度全面複写してこよっと。

投稿: mori-chi | 2008年1月14日 (月) 12時49分

最初は私も複写申請書に縦左二分の一とか書いたんですが、司書の方と相談しました。米陸軍の地図だから、日本の測量法には抵触しないこと、著作権保護期間も終了していることを説明し、「全面複写可」(そう言うゴム印があるんです)の朱印をいただきました。この御朱印状があれば、コピー室も否やはありませんので、全面複写で、大出費と相成った訳です。
ひょっとしたら、米国にも測量法はあるのでしょうし、万国地図条約?みたいなものがあって、米国地質調査局の発行する地図には国内法と同様の制限が係っているのかもしれません。その場合でも測量法は、地図の正確性の担保でありましょうから、研究資料としては全面複写可、特に地図の異様な正確性(航空写真に・・・)について騙っておられる方に対する反証用であれば、問題は無いと考えます。まぁ、著作権切れと米国陸軍には測量法は及ばないのニ点で折衝でしょうね。
国会図書館ですか?省庁の所属を聞かれるかもしれませんね(笑

投稿: 陸壱玖 | 2008年1月14日 (月) 14時09分

なるほど、秋庭先生は全面複写したのかなー。でも、引用の仕方を見る限り、L774は一部しか複写できず、L874はいろいろと複写が可能だった、なんて妄想をしてみる。

残るはL774のうち、中野坂上があるエリアの隣のエリアの地図です。これは国立国会図書館では見つかっておらず、都立中央では検索しても出てきません。「東京・神田間の地下鉄」が書いてあるL774を秋庭先生はどうやって手に入れたのか。

意外に近い場所にあるはずです。

投稿: mori-chi | 2008年1月14日 (月) 21時25分

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