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2007年10月 3日 (水)

秋庭俊先生渾身のオカルト小説『大東京の地下鉄道99の謎』(二見文庫)を読む・その3

会社帰りに閉店間際のスーパーに駆け込む。客足はまばら。鮮魚コーナーには安売りの刺身があったりして、晩ご飯のおかずにしたり。

そんな平和な毎日に変化を与える秋庭本。

オイラって暇だなー(笑)

今日はオカルト小説の検証第3弾である。

PART4 東京メトロ「日比谷線」「都営浅草線」の地下の謎

42 〈中目黒駅〉こんなにもトンネルが汚れているのは、なぜ?

中目黒駅近くのトンネルはきっと、その当時、五島が造ったものに違いない。(P103)

トンネルが汚いだけで、後藤新平に五島慶太が登場。根拠はいっさいない。現場に行ってみたらどうだろうか。他と大して変わらない程度にどす黒く汚れ、他と大して変わらない程度にまだらに変色している。念のため書いておくけど、トンネルの古さは汚れでは分からない。

43 〈日比谷駅〉祝田橋で日比谷線が地下道と交差している秘密

地下鉄日比谷線がくぐった大下水渠、1970年当時の営団地下鉄総裁の発言、1940年の紀元2000年のイベント、3つはまったく関係のない出来事だが、それを文章で並べてあたかも関係があるような印象操作を行っている。

「最近、いろいろの下水、あるいは電線シールド工事が非常に多くなっております」

この営団総裁発言をとらえて、下水は下水でないという素っ頓狂な仮説を出すことなど、まともな人間には不可能である。どう考えても、下水と電線のシールドの工事が多くなっているとしか読めない。「いろいろ」とは、最初に「いろいろな」と言いかけたが、途中で下水と電線という具体例を出そうとしただけで、「いろいろ」にはほとんど意味がない。

人間の発言は気まぐれで不確かなものだ。それをたった一文だけ揚げ足をとって秘密の地下網を隠されているというレッテルを貼られてはかなわない。

紀元2600年記念宮城外苑整備事業は、地下道の建設にまったく着手しないまま戦況の悪化により中止された。同事業は、外苑そのものの整備と、地下道の整備の2つがある。外苑そのものの整備事業は、1939年11月に起工式が行われ、1943年7月に中止された。これには職工延べ3万人、勤労奉仕延べ49万人が従事した。一方地下道の整備はまったく着手しないまま終戦を迎えている。

前回も同じこと書いたぞって記事

44 〈銀座駅〉地下2階の狭すぎる通路に秘められた謎

「地下鉄新宿線」が戦前にあったかどうかという説明がほとんどされていないのに、それと密接に関わる話を、前段をまったく示さないで出されて、ほら、地下2階は戦前からあったと言われても、読む方がきょとんとしてしまう。これでは、いくら読んでも戦前からあるようには思えないのだ。

45 〈東銀座駅〉戦前の幻の地下鉄「新宿線」のトンネルを改造?

たった2行の文章で戦前の極秘地下鉄を導き出す想像力に乾杯。

仮にBが分からなかったとしても、それを「新宿線」に結びつける根拠がまったくない。秋庭先生が勝手に「新宿線」と決めつけているだけで、もっと他の極秘地下鉄かもしれない。それとも何の関係もないかもしれない。そんなことを言うと、「可能性は否定できない」と言われそうだが、可能性を証明もしないで否定できないだろと言われても、だだをこねているようにしか聞こえない。

「に関する工事」の6文字にかみついているところにも、脱帽。

東銀座工区の工事なのに、お隣の三原橋工区の工事をしてはいかんでしょ。やはり「関する工事」しかやりようがない。

46 〈築地駅〉地下駐車場は、かつての地下鉄ルートだった?

築地川公園の地下にあるのは駐車場ではない。築地川第一、第二、第三駐車場は、地下ではなく、地上にある。第一は、都営でもなく区営でもなく民間の駐車場である。ちなみに地図にも載っているし、現地に行けば、ちゃんとある。

この部分については、『帝都東京・隠された地下網の秘密』の洋泉社版では、第一、第二、第三のいずれも政府専用駐車場だと書いていたのに、後に新潮文庫版が出版されたときには、第一、第二、第三の他に政府専用駐車場があると記述している。ところが、今回の本では第一、第二、第三のいずれも地下にあると書いていて、おもしろいことに「かつて政府専用の駐車場」と、またもや仮説が変わっている。

いい加減にしろ。

47 〈人形町駅〉地下鉄の走らないトンネルの謎

言っている意味が不明。地下鉄の走らないトンネルなんて、あちこちに腐るほどある。

48 〈秋葉原駅〉「つくばエクスプレス」より日比谷線が速い謎

2分と1分の違いにかみつくところが秋庭先生らしいところだ。ただ、御徒町の終点が日比谷線とつくばエクスプレスでは、まったく場所が違うから、時間を競わせるのは不公平である。

「つくばエクスプレス」が大きく浅草方面に回り込んでいる理由は1つしかない。

浅草駅をつくりたいから。

それ以上でもそれ以下でもない。

つくばエクスプレスの建設効果を、秋葉原・南千住間だけで測ろうとするのは無理がある。だってつくばエクスプレスは、東京からはるか彼方のつくばセンターから走っている。それをどうして、都内の短い区間だけ取り上げて無駄だ、無駄だとつばを吐きかけるのか。

秋庭先生、一度つくばエクスプレス、全線にお乗りください。できて良かったーって実感するから。

49 〈三ノ輪駅〉「163」カーブは戦前に造られたトンネルだった?

この稀なケースは、もともとメートル法で設計されたトンネルではないことを示している。(P116)

なるほど。じゃあ、163メートルは、ヤード?フィート?どっちで割り切れるの?

あれ、どうして書いてないの?

メートル法ではないなら、何なの?

秋庭先生?

・・・秋庭先生?

50 〈南千住駅〉かつて銀座線の車庫も南千住にあった?

ん?

日比谷線の南千住にある車庫って地上でしょ?

極秘につくるの?

私には何の不思議もない。(P119)

なーんだ、秋庭先生だけか。

51 〈西馬込駅〉戦前建設を思わせる深くて古いトンネルの謎

秋庭先生、馬込の辺りって言ったことない?戸越銀座の辺りも活気があっていいまちだよね。これぞ東京の商店街って感じ。古き良き江戸っ子商人のまち。地下鉄の建設について調べるとき、トンネルをにらんでいても駄目だよ。地下鉄を降りて、街を歩いて、何故ここに地下鉄が必要だったのか調べないとね。

本線の赤字は解消していない。(P120)

?????

意味不明。秋庭先生、すぐ前に「50年かかってやっと黒字になった」と書いているでしょ。京浜急行だとか、京成電鉄が乗り入れているけど、これらが都営線内を走るときの営業収入は、当たり前だけど都交通局の収入になるんだよ。5000億円の累積赤字? なんかの資料を読み違えてない?

たぶん都営地下鉄全体の累積赤字のことなんだと思う。そりゃそうだよね、多額の建設費で問題になった都営大江戸線が全線開業したばっかりだもんね。50年かけて黒字になったというのは、浅草線のことではなくて、都営地下鉄全体のことだよ。浅草線はとっくの昔に黒字経営だった。

秋庭先生の勘違い・・ってより、確信犯なんだろうなー。

52 〈五反田駅〉既設のJRの駅地下に地下鉄駅を新設できたのは、なぜ?

地下鉄の駅が十字に交差しているJRの駅は、たくさんある。

池袋(副都心線、有楽町線、丸ノ内線)、新宿(丸ノ内線)、横浜(市営地下鉄、東急東横線)・・・たくさんあるやん。

53 〈高輪台〉お寺の下に造られた深くて広い変電所の謎

前も書いたけど、変電所の話を聞きたいなら、東京電力に取材すべし。

ちなみに、この変電所と地上の高野山東京別院は同時に建設された。東京別院の建て替え工事の際に、先に地下に変電所をつくって、その上にお寺を建てたわけだ。

別に不思議でもなんでもないでしょ。

54 〈泉岳寺駅〉国が造って京浜急行に譲ったトンネルの謎

P線について詳しく知りたいときの記事

泉岳寺・高輪台間のトンネルがどうなっているのか知りたいときの記事

上記の2つのサイトで、謎が解ける。

55 〈新橋駅〉この駅が銀座線につながるはずだった理由とは?

五島慶太と早川徳次の地下鉄騒動以前にすでに銀座線の新橋駅は現在の場所に建設されている。早川が負けたから銀座線が現在の方向に曲がったわけではない。どちらが勝とうが負けようが、都営浅草線の新橋駅は、都営浅草線である。

この項は、秋庭先生自身が破綻している。

「結果、早川が負けて、浅草から来た線路は新橋で直角に曲げられ・・」(P127)

「早川が新橋まで地下鉄を建設してから五島が新橋まで線路を延ばすまでには、5年の時差がある」(P128)

2つの文章はまったく相反しているが、それに気づいていない。頭の中だけで文章を書いているから、こういうことになる。

56 〈蔵前駅〉大江戸線「蔵前駅」への乗り換え通路がないのは、なぜ?

不便だよね。確かに不便だ。

大江戸線は、安く済ませようとして無理をした部分と、お客さんにたくさん乗ってもらおうとして無理をした部分があって、現在のようないびつな路線になった。最初はもっときれいなカーブを描いていたんだけど、途中で他路線とのネットワークを考えて、あっちへふらふら、こっちへふらふら。その一方で、もう少しお金をかければ便利になったのになーというところもあって、利用客をやきもきさせる。

さあ、今週も折り返し地点。3連休まであと少しだねー。

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コメント

謎本を買った夜、帰り道、昭和通りと、春日通りの交差点つまり日々夜戦の仲御徒町駅上で
「すみません、つくばエクスプレスの駅はこの近所ですか?」とのお尋ねが。
「ありますけど、この道の信号六つ位向こうになりますよ。」
「えっ!失敗したなあ、秋葉原で乗り換えるよりこっちの方が近いかと思って。そんなに遠いの?」
どうやら、TX沿線に御用があったらしいので、
「帰り道ですから、新御徒町の駅までご一緒しましょう。」
「いゃーまいったなーっ。秋葉原で乗り換えるよりてっきりこっちの方が、御徒町のすぐ側がつくばの駅だと。」
「誰かに騙されたんじゃないですか?」「そんなんじゃないけど。どうして?」
「今読んでる本に同じ様なこと書いてる人が居るんですよ。御徒町、仲御徒町とつくばの新御徒町がすぐ側だと。」
「いやー秋葉で乗り換えた方がよかったのかあ。私もこの辺が地元だったんで、過信してたなあ。あっ、あそこが乗り場か。」
地下鉄の行灯が見えたので、
「あそこが佐竹の商店街ですよ。あそこの入り口から入っても、後2、3百メートルありますけどね。大変でしたね。」
「いゃーっ、ありがとうございました。」
とお見送りしたのが、まだ、春日通りと

投稿: 陸壱玖 | 2007年10月 3日 (水) 21時03分

──接木──
清洲橋通りの交差点手前の大江戸線新御徒町駅入口。
ビックリしました。あるんですねこんな偶然が。
日比谷線建設史に拠れば、秋葉原-仲御徒町間は977メートル。
つくばエクスプレス工事誌に拠れば秋葉原-新御徒町間1580メートル。
ほんとにこの本茫然とした後に怒りが湧いてくるわ(呆

改行数の制限あるんでしょうかね。携帯から入ったら途中で文章が切れました。ご迷惑様ですが、継ぎ足しです。

投稿: 陸壱玖 | 2007年10月 3日 (水) 21時23分

ケータイからの長文&継ぎ足し、乙です。

第1作目の『99の謎』は「敗北宣言」、文庫版『地下要塞』は「逆ギレ」、今回の『99の謎』は「開き直り」ってところでしょうか。居酒屋の話題をそのまま活字にしたような荒っぽいオカルトと、才能のまったくない文章力がミックスされて、非常に強力な電波を発しています。

まあ、しかしTXを23区内だけ使う人はさすがに少ないでしょうね。日比谷線と競争させるのは無茶です。言うなれば浅草線と山手線を競争させるような違和感でしょうか。比較できないものを無理に比較して優劣をつけるところあたりが、秋庭系なんですけどね。

投稿: mori-chi | 2007年10月 3日 (水) 22時50分

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