【9・11】その瞬間から何かが始まった。
2001年9月11日、当時オイラは、今から比べると格段に働き者で、おそらく当時も夜遅くまで職場に残り、残業をしていた。帰宅してテレビのスイッチを入れると、そこには、
もうもうと煙をあげる世界貿易センタービル
が映し出されていた。
現実とは思えない映像だが、それはNHKが衛星回線を通して伝えた正真正銘の現実だった。
事故?
その瞬間から日本も世界も、決して後戻りできない混迷へと放り込まれたような気がする。
NHKは、リアルタイムで出来事を伝えていた。
2機目の突入
1つ目のビルの崩壊
2つ目のビルの崩壊
すべて生で映像を伝えることはできなかったが、すぐに現地の録画映像を流していた。
NHKの現地の特派員がカメラの前でしゃべっていると、最初は背景に煙をもくもくとあげるビルがあったのに、いつの間にかビルの姿はなかった。
誰がそう口にしたのか覚えていないが、テレビの中で誰かが「テロ」の可能性を示唆していたような気がする。
同時多発テロの前、アメリカのみならず日本でもテロの可能性が指摘されていた。とはいえ警戒していたのは在日米軍だけで、オイラたち日本の民間人は、日本にいる米軍が警戒していることすら知らずに平和な毎日を過ごしていた。
そこに飛び込んできたアメリカの悲劇。
不思議に「テロ」という言葉を聞いても驚かなかった。テロの標的になるだけの敵を抱えているのがアメリカのような気がしていた。
当時、テロの標的となったペンタゴンの近くのホテルに東京都の石原慎太郎知事も滞在していた。それほど時間もかからず無事が伝えられた。
悪運が強いお人だ。
9月14日だったと思う。石原さんはアメリカの飛行禁止が解除された全日空の一番機で成田空港に帰国した。そのときの空港内の記者会見場には、やけに神妙な顔つきの石原さんがいた。
「今度の事件はむごすぎるよねえ」
石原節がいつもより震えて聞こえた。命からがら逃げてきた観光客の顔つきと変わらない石原さんがそこにいた。
成田空港から帰る京成電車の中で、オイラはやけに心臓がバクバクしているのを感じた。
石原さんのみならず顔面蒼白で到着ゲートをくぐる人たち、事件の当事者を目の前にして、ようやくテレビの映像が現実であることを実感したのかもしれない。
ドラマや映画じゃない。これは現実だ。
そんなこと当たり前だけれど、リアリティを感じるのがあれほど難しい事件は他になかったと思う。
あれから結局アメリカは、たった1つの戦争も終結させることができず、世界は今も混迷を極めている。
日本はいつの間にか大きな転換を迎えた。
有事法制
国民保護
治安
拉致問題
・・あの頃聞き慣れなかった言葉を新聞紙上で当たり前のように見かけるようになった。
この先に何があるのかオイラには分からないけれど、もう9・11以前には戻れないほど大きく舵をきってしまったことだけは確かだと思う。
だから、この先も、この日が訪れるたび、オイラたちがこの瞬間からどこへ向かおうとしているのか、冷静にしっかりと見極めようと思うんだ。
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