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2007年7月24日 (火)

【緊急特別企画】秋庭俊先生の『新説東京地下要塞』文庫版を解読する(第4回)

日本中の地下マニアを熱狂させたオカルト作家・秋庭俊先生の『新説東京地下要塞』の文庫版を解読する第4回。今日午後からはココログの長時間メンテナンスがあるので、午前中に予約投稿機能でアップしておく。

今回は、「第四章 都営浅草線の真実」を検証する。

東京の地下鉄が都営と東京メトロの2社に分かれているのは、東京都が悪いのか?

悪いのは東京都ではなく、営団を存続させた当時の運輸省である。

終戦直後、東京の地下鉄を東京都が建設すべきとする都営案と、当時運輸省が主張した営団方式とが真っ向から対立していた。国会の圧倒的多数派は都営案を支持し、営団の廃止法案まで準備されていたが、運輸省が圧力をかけてつぶした。

この問題を考えるには、東京都だけでなく、地下鉄が走る他の政令指定都市に目を向けてみればわかりやすい。札幌、仙台、横浜、名古屋、京都、大阪、神戸、福岡・・・地下鉄を建設し、運営しているのは、すべて市である。何故東京だけ営団という特殊法人が都をさしおいて地下鉄を建設しているのだろうか。

つまり都が地下鉄を建設するのが異常なのではなく、営団(現在の東京メトロ)が地下鉄を建設するのが異常なのだ。

『新説東京地下要塞ー隠された巨大地下ネットワークの真実』(秋庭俊著)を読む3

上記のエントリーで詳細に分析している。

都営浅草線のルートは無駄で不必要な路線なのか?

都心の交通マヒを解消させるために必要な路線だった。

秋庭先生が勘違いしているのは、終戦後の都心部の交通事情である。別の本で都心では車が走っていなかったような書き方をしているが、昭和30年代から都心の道路は深刻な交通渋滞に悩まされている。年々、地上を走る都電のスピードが落ちて、乗客数にも陰りが見え始めていた。

浅草線のルートは、浅草から新橋まで銀座線やJRと併走することになるが、当時も今も、JRの上野・東京間は日本一の混雑である。特に上野・御徒町間の殺人的ラッシュを、秋庭先生も一度経験なさってはいかがだろうか。

ちなみに浅草線の最初の開業区間は、押上・浅草橋間である。開業と同時に京成線と直通運転を始めている。これは、荒川の東側を中心に交通アクセスの整備が遅れていて、都がそれに対応しようとしたためだ。秋庭先生の議論は、浅草・新橋間だけを取り上げて浅草線の評価をしているが、浅草線の整備目的はそんなにちっちゃくはない。

都営浅草線の泉岳寺・高輪台間には、上りと下りの線路の間に得体の知れない建築が横たわっているのか?

この区間はシールド工法でトンネルを掘っており、得体の知れない建築を横たわらせることはできない。

これは、下記のサイトをお読みになるのが良いと思う。

都営浅草線 泉岳寺ー高輪台間には何がある?(書き散らsyndrome)

秋庭先生の妄想だったらしい。

昭和通りの新橋・三原橋間には市電・都電の線路が戦前・戦後と敷かれなかったか?

戦前に敷かれたが、戦後に廃止され、線路は撤去された。

東京の地下鉄は戦前にすでに作られていたという噂は本当か?22

東京の地下鉄は戦前にすでに作られていたという噂は本当か?25

帝都復興事業で昭和通りが整備された頃、沿道の住民から道路が広すぎてすっかり町が寂れてしまったという苦情が東京市に寄せられた。そこで東京市は、新橋と三原橋間の短区間だったが、市電を敷いた。GHQが作成した地図の元になった航空写真にはその市電の線路が写っており、地図にも反映された。

従って、GHQの地図は、極秘に戦前に建設された浅草線を表してはいない。

ところで、この章でも秋庭先生は、文庫版の発行にあたって数々の修正を加えている。一番目立ったのは、文庫版129ページの「内務省東京市内外交通委員会計画」である。単行本では123ページに「昭和通りルート」という図で掲載してあったが、今回は出典が千代田線建設史であることを明記してある。

それは結構なことだが、首を傾げてしまうのは、中身を改変していることだ。

単行本では「赤坂見附」しかなかったが、文庫版では「伏見宮邸」が付け加えられている。伏見宮邸は戦前、現在のホテルニューオータニの敷地にあった。つまり赤坂見附なのだ。それを知ってか知らずか、文庫版の図では赤坂見附も伏見宮邸も両方書いてある。

秋庭式の特徴なのだが、過去の地下鉄計画の路線図を引用して、「極秘の地下鉄だ」と勝手に決めつける。よーく考えてみてほしい。仮にそれが極秘の地下鉄だったとして、では地上に住んでいる一般市民はいったい何に乗って移動しろというのだろうか。こっちも極秘、あっちも極秘、秋庭先生の議論はいつもこうである。一般市民の乗る地下鉄計画は、いったいどこにあるのだろう。それとも、戦前の東京の交通網は、通勤・通学、買い物で使う一般市民のことなど考えもせずに線を引っ張っていたのだろうか。

秋庭先生の本を読んでいると、まるで戦前の一般庶民は地下鉄なんぞに乗ってはいけないものだったように思われてくる。

もしも私鉄が地下鉄をビジネスにしようとするなら、オイラならきっとあふれるほどの一般庶民を乗せると思う。軍部の極秘地下鉄なんて商売にならないから。土建会社なら建設すれば儲かるが、私鉄会社だから建設したら資金を回収しないと商売にならない。そこに皇族が優雅に地下鉄にお乗りになって、1日何往復かされる路線を、仮に私鉄が建設したとしよう。

そんな私鉄会社、あっという間に資金が底をついてつぶれる。

(つづく)

伝説のオカルト本『新説東京地下要塞』が文庫化〜著者の秋庭俊先生が「隠された地下網を暴くと逮捕されるぞ!」と読者と関係者を恫喝

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(関連サイト)

書き散らsyndrome

地下妄の手記

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