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2007年7月23日 (月)

【緊急特別企画】秋庭俊先生の『新説東京地下要塞』文庫版を解読する(第3回)

地下のオカルト界を8年にわたり先導してきた秋庭俊先生の集大成『新説東京地下要塞』の文庫版を解読する第3回。こんなネタには興味のない皆さん、今しばらくお待ちを(汗)

今回は、「第三章 現代の極秘地下施設」の検証。

幻の護送地下鉄計画は、ミスター検察・伊藤栄樹氏のつくり話なのか?

つくり話ではなく現実にあった計画。

【秋庭系東京地下物語2007】(第2話)「極秘」護送地下鉄の妄想

上記のエントリーでも詳しく書いたけど、秋庭先生は大きな勘違いをしている。

1つは、護送地下鉄そのものが「極秘」なのではなく、法務省の官僚が「極秘に」計画を練っていたということ。

ようやく極秘地下鉄が実現しても、一週間も経たないうちにバレてしまうのではないだろうか。(P85)

その通りで、法務省は最初からバラすつもりでいたのだ。当たり前の話で、千代田線を護送列車が走ったら誰の目にも見つかってしまう。計画を立案している最中にリークされたら計画をつぶされてしまうといけないから、ギリギリまで極秘に事を進めたということである。

2つは、護送地下鉄はノンストップだが、一般の車両を追い越す必要はない。

秋庭先生が何故ここにこだわっているのか分からないが、護送地下鉄は乗客の乗降扱いをしなくていいから、各駅停車の地下鉄に追いつかない程度にノロノロ走ればそれでいい。実際、『地下鉄物語』では、護送地下鉄のダイヤはラッシュ時間帯を過ぎた時間に走らせると書いてある。

秋庭先生のおもしろいのは、現実にはない「分岐」が見えるくせに、現実にあった計画は「つくり話」とバッサリ切ってしまうところだ。オカルト作家にはリアリティは気に入らないということなのだろう。

東京メトロ副都心線の建設と同時に、都は明治通りの地下に「都市計画街路」を建設しているのか?

建設していない。

そもそもそんな資料は存在しない。

秋庭先生が第3章で引用している都議会の議事録では、副都心線以外の建設についてまったく触れられていない。副都心線は、当時問題になっていた道路特定財源を使って建設されている。これは国が道路特定財源の一般財源化を視野に入れて、道路以外の用途に使った事例である。実際、道路特定財源は、道路以外の用途に使われている。

国の直轄事業に対しては、自治体に対して「直轄事業負担金」が課せられる。これは地方分権の時代には理不尽な制度で、自治体も国に対して見直しを求めている。

都の道路管理部が副都心線建設を担当したのは、財源が道路特定財源だからである。

まったく関係のない2つの資料を秋庭先生が脳内でつなぎ合わせただけである。

ハッキリ言って、質問している河野都議に対する名誉毀損である。

『新説東京地下要塞ー隠された巨大地下ネットワークの真実』(秋庭俊著)を読む2

上記に議事録の全文を引用している。

千住大橋から品川に向けて、地図上に存在しない一直線の街路が地下に存在するのか?

存在しない。

引用文をよく読んでいただきたい。「街路計画作成にあたって」とある。つまり構想段階の話で、建設されていない。従って地図上には存在しない。計画と現実を混同する秋庭式妄想法の1つである。

東京の地下鉄は戦前にすでに作られていたという噂は本当か?25

高野山東京別院の地下にある高輪変電所は、戦前にすでに地下空間があったのか?

あったかどうかは分からないが、高野山東京別院の建物と高輪変電所は戦後に同時に建設されたものである。

高輪変電所は、高野山東京別院が、弘法大師の御入定1150年記念事業としてお寺を建て替えるときに、当時としては都内10番目の超高圧地下変電所として建設された。秋庭先生は、高野山東京別院の建物が戦前からあったと勘違いをしている。

従って、戦前から地下空間がなくても、高野山東京別院の地下に変電所を建設することは可能である。

今回も、単行本と文庫版を比較してみよう。

(単行本)「つまり、街路は地上の道路ではない。「建設、修理、点灯」という言葉づかいからも、地下道のことだと想像がつくと思う」(P86)

(文庫版)「つまり、街路は地上の道路ではない」(P92)

「建設、修理、点灯」が必要なのは地上の道路も同じだということに気づいたらしい。でも、ここが削除されてしまったら、ビーアド博士の言葉は地上の道路のことだということになるし、この部分のセンテンスの意味が通じなくなる。

東京の地下鉄は戦前にすでに作られていたという噂は本当か?28

(単行本)「この事業の担当は、道路計画担当部長である。できあがるインフラは、道路の一部といういことである。だが、道路の一部というのは、何のことなのだろう。道路とどこが違うのだろうか。道路計画部長の発言に丸め込まれてはいけない。地下鉄一三号線は国の直轄事業だから、駅舎やトンネルなど、地下鉄に関連するものは国が建設している。東京都の街路事業で整備されるのは、その「躯体等インフラ部」というものである」(P89)

(文庫版)「この事業の担当は、道路計画担当部長である。できあがるインフラは、道路の一部といういことである。だが、道路の一部というのは、何のことなのだろう。道路とどこが違うのだろうか」(P95)

どうやら秋庭先生は、道路計画部長の発言に丸め込まれたらしい。副都心線を建設するのは東京都建設局、国は都に対して道路特定財源から補助を出している。だから副都心線以外に「街路」は建設されていない。

この章では他にも微妙にあちこちと文庫版で修正が加えられているので、その辺もどんな意味があるのかを考えながら比較すると、なかなかおもしろいと思う。

(つづく)

伝説のオカルト本『新説東京地下要塞』が文庫化〜著者の秋庭俊先生が「隠された地下網を暴くと逮捕されるぞ!」と読者と関係者を恫喝

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書き散らsyndrome

地下妄の手記

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コメント

やっぱり講談社分かってやってますね。確信犯ですな。
違法行為について、かつ、秋庭さんの手口について。
奥付の手前、

「本作品は二○○六年六月、小社より刊行されたものを文庫化にあたり加筆・訂正しました。」

「訂・正・し・ま・し・た。」(呆爆

投稿: 陸壱玖 | 2007年7月24日 (火) 03時48分

「加筆・隠蔽」の間違いですよね(笑)

さてさて売れているのでしょうか、文庫版。blog検索しても反応はイマイチですが。

投稿: mori-chi | 2007年7月24日 (火) 10時50分

土曜日、所詮グランデは一階と五階でそれぞれ平積ですし、地下だけに、需要は底堅いものがあるのでは。
ところで出版屋のコラボ企画なんでしょうか?
今日八重洲の栄松堂のぞいたら、「要塞都市 東京の真実」(宝島社)が26日刊で、文庫に。
一つ置いて、並んでました。「新説」と。
こちらには、「加筆・訂正」とは書いてなかったような(笑
やはり、需要は底堅い?

投稿: 陸壱玖 | 2007年7月24日 (火) 13時14分

基本的に陰謀論・都市伝説ブームなんでしょうね。オカルトが流行ると戦争の足音がというのはオイラの思い込みかもしれませんが、現実から目をそらさないと痛すぎる世の中なのでしょう。

さて今夜9時頃からココログのメンテナンスです。コメント欄復活は明日の午後3時頃かと。

投稿: mori-chi | 2007年7月24日 (火) 16時43分

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