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2007年7月22日 (日)

【緊急特別企画】秋庭俊先生の『新説東京地下要塞』文庫版を解読する(第2回)

地下の都市伝説の権威・秋庭俊先生の混信の…いや、渾身の著作・講談社+α文庫『新説東京地下要塞』を解読する第2弾。

今回は「第二章 足元に広がる洞道」を検証する。

地域冷暖房の管路のルートは公表されていないのか?

公表されている。

前回の書いたけれど、地域冷暖房を導入するには都市計画決定を経なければならず、地元自治体の都市計画審議会に諮り、市民に対しても公表しなければならない。いつの間にか勝手に道路を掘ってトンネルを構築することは不可能である。

なお、地域冷暖房のプラントが「公園」の下にあることはない。都市計画法では公園の地下に変電所を建設することは認められているが、地域冷暖房の施設を建設することを認められてはいない。新宿中央公園の地下にあるのは地下変電所(サンシャインシティの地下にある高圧変電所と同じ)があるが、地域冷暖房の施設はない。

市区改正は、湯水のように金を使うだけで道路も敷かれず、下水も整備されなかったというのは本当か?

そのような事実はない。

市区改正は、毎年使う予算が限られていて湯水のようには使えなかった。また限られた予算の範囲でも、計画に定められた道路を建設し、東京の都市改造に貢献した。下水道整備が行われたのは上水道の整備が終わってからで、市区改正の中では実現しなかった。

東京の地下鉄は戦前にすでに作られていたという噂は本当か?23

東京の地下鉄は戦前にすでに作られていたという噂は本当か?24

これに関連して、坂下通りの記述が単行本と文庫版で微妙に違っていた。

単行本「この時期、唯一、敷設されていた道路は、坂下通りという」(P50)「市区改正当初、ここには唯一の道路が敷設されていた」(P60)

文庫版「この時期敷設されていた道路は、坂下通りという」(P56)「市区改正当初、ここには道路が敷設されていた」(P66)

市区改正では湯水のように金を使い1本の道路も敷かれなかったが、唯一坂下通りが敷かれたというのが、単行本での秋庭認識。一方、文庫版では「唯一」が削除された。

何でもない修正に見えるが、市区改正の認識自体に誤りがあることに秋庭先生本人が気づいていることが分かる。市区改正で敷かれた道路はたくさんある。坂下通りがそのときに敷かれたかどうかオイラは調べていないが、少なくとも「唯一」であることはあり得ない。

逆に言えば、たった1つの単語の削除は、秋庭先生の市区改正論の破綻を意味する。

サンシャインシティと豊島区役所の間には東池袋中央公園の角を通過する直線の洞道があるのか?

ない。

前回紹介した池袋地域冷暖房株式会社のサイトに管路の系統図が掲載されている。秋庭先生の言う、いわゆる洞道は、サンシャインシティから東急ハンズの横を通り、豊島区役所まで伸びている。冷暖房の供給先は様々あり、公共施設のみならず民間の施設も利用している。

直径二メートルのトンネルを五〇〇メートルにわたって設置すれば、工事費が一〇億円以下では収まらない。(P76)

これは秋庭先生が勝手に妄想することではなく、作った会社に取材して質問すべきものである。このトンネルは地下鉄を通すトンネルではないから線路も空調設備もいらない。10億円以下で収まるかどうかはオイラには分からないが、地下鉄を通すよりはるかに安上がりであることは確かだろう。オイラはただのブロガーだからこのくらいの妄想が限界だが、あなたはジャーナリストなんだから、当事者に取材すべきだ。

ところで、この章で秋庭先生は、サンシャインシティのすぐ脇を通る丸ノ内線に新駅をつくらなかったことを「闇」と書いているが、オイラにはそれが全然闇には思えない。

だって、今、オイラたちがサンシャインシティに行くのに有楽町線の東池袋駅を使うだろうか。ほとんどの人が迷うことなく歩いていることと思う。サンシャイン60 通を時折途中のお店に寄りつつのんびりサンシャインシティに向かうのではないだろうか。かつてはサンシャインシティの中にあるバスターミナルには都営の定期バスが出入りしていたが、今は廃止された。遠いようだが、意外に近い。お金を使ってまで乗る距離ではないのだろう。

確かに交通の便が良いに越したことはないが、今の池袋東口周辺の発展を見る限りにおいて、サンシャインシティのネックは、逆に町全体にとっては良い効果をあげていると思う。

(つづく)

伝説のオカルト本『新説東京地下要塞』が文庫化〜著者の秋庭俊先生が「隠された地下網を暴くと逮捕されるぞ!」と読者と関係者を恫喝

【緊急特別企画】秋庭俊先生の『新説東京地下要塞』文庫版を解読する

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(関連サイト)

書き散らsyndrome

地下妄の手記

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コメント

新旧比較カワイイところでは、単行本60頁
「このあたりでは開運坂が最も標高が高い。」
文庫版66頁
「このあたりでは開運坂が最も海抜が高い。」
まぁ、「標高が高い」と高いが二つ続くんでいじったんだろうなぁ。
一寸怪しからんのが(笑
単行本90頁
「馬場下町の交差点には、はじめに「都市計画街路」があった。東西線はその下をくぐり、下から支える工事をしている。」
文庫版96頁
「馬場口の交差点には、はじめに「都市計画街路」があった。東西線はその下をくぐり、下から支える工事をしている。」
馬場下町と馬場口では600メートルは離れているし。
東西線ってあの辺開削だから下支えって大工事になるんだけど。建設史にそんな記述があったら秋庭さんのこと、それこそ鬼の首を取った様な(笑

投稿: 陸壱玖 | 2007年7月22日 (日) 19時46分

いつもどうもです。

いやはや、すでに第4回までエントリーを書き終えたのですが(1日1回ずつアップ)、改めて読んでみると、秋庭ワールドの集大成です。この程度の「わずかな資料」でこれだけの妄想を書いてジャーナリストになれるなら、オイラもオカルト作家になっちゃおうかと妄想してしまいます。

「都市計画街路」ってよくよく読んでみると、副都心線に合わせて建設するんじゃなくて、もともとあったものをリニューアルするって設定なんですね。つまんねー。
でも考えてみれば秋庭式では東西線も戦前からあったんですから、下から支える必要はなかったんじゃないかな。ついでに言えば、副都心線も戦前からあったんなら上に秘密の街路、下に秘密の地下鉄って、明治通りの地下はさぞや騒がしかったことでしょう(爆)

そう言えば『隠された地下網』によると、東西線の上には、冷房完備の政府専用地下自動車道が通っているはずだから、この明治通りの都市計画街路と、極秘の地下自動車道はインターチェンジを形成していることになりますね(爆爆爆)

投稿: mori-chi | 2007年7月22日 (日) 20時17分

不器用な当方には、観察だけが武器ですので、「新旧比較」は大好きです。
今夜は「わずかな資料と凄まじい洞察力」の「巨大な都電」の結果をいじってみました。

http://www3.atwiki.jp/619metro/pages/82.html

拙図が哀しい(笑
ま、「新宿・都営軌道」なんとか潰せたと思いますが。
いかんなぁ。こんな書き方するとまた、下級公務員扱いされそうだな。秋庭さんいつの間にか政府関係者になられた様で。猪瀬直樹路線まっしぐらかな(笑

「利光送電図」が今度の文庫では「小田急送電図」(資料:『東京高速鉄道略史』)って書いてあるんですが、どの、「脳内略史」からなんでしょうか?

投稿: 陸壱玖 | 2007年7月23日 (月) 01時22分

読ませていただきました。なるほど秋庭先生が大江戸線と重なるだの、千駄ヶ谷では商売にならんなどとほざいていたのは、単なる京王線だったわけですね。驚きってより、脱力感ですなー。

自分が極秘の地下網の秘密を知ってしまったと妄想して、逮捕されるかもしれないと怯えながら毎日をおくる。それがマジならジャーナリストというより、一度診てもらった方がいいですよ、と進言したいものです。

それにしても一番驚いているのは、秋庭先生を案内したという「関係者」だろうなー。どこを案内したのか知らないが、「え?あれは極秘の地下道だったの?オイラ、逮捕されるの?」って(爆)

投稿: mori-chi | 2007年7月23日 (月) 08時39分

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