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2006年12月 9日 (土)

『大東京の地下99の謎』(秋庭俊著、二見文庫)を読む3

『大東京の地下99の謎』を分析するシリーズ第3弾である。

こういうのに興味のない皆さん、あと少しお待ちを(笑)

PART3 大東京を走る「地下鉄」の謎

49 迷路のような複雑怪奇な東京の地下鉄、その理由は?

双方がそれぞれの利益を追求し、それぞれの都合で路線を決めたり、駅を設置したりしてきたため、東京メトロと都営地下鉄を組み合わせて利用する際の利便性に欠けてしまっている。(P120-121)

地下鉄は、それぞれの都合で路線を決めたり、駅を設置することなどできない。国の審議会で路線を決定する必要がある。鉄道会社の都合で路線を敷くことはできない。大江戸線なら、地元の自治体から再三にわたり整備を求める要望が都に寄せられていた。2つの主体が地下鉄を経営することは、確かに料金体系を複雑にするし、割高にする。ただ、これには大人の事情があった。

国が東京の地下鉄の経営一元化をぶっつぶしたという記事

2線の開通により、「格段に便利になった」と感じている人は少ないだろう。(P121)

毎日この2線を使っている人に聞いてみてはいかがだろうか。ずいぶん便利になったよ。南北線の開通により、山手線の内側では、徒歩で行けない駅はなくなったのだそうだ。昔なら都電やバスがカバーしていた地域でも、地下鉄が走っている。都電はご存じの通り、車社会に飲み込まれて、一部を除き姿を消した。バスも、道路事情の悪さから苦戦している。2線の開通は、麻痺していた都心の交通事情を、かなり改善している。

57 桜田門駅の上に将来、地下自動車道がつくられる?

桜田門に地下自動車道を通過させる計画は戦前にもあった。(P138)

違う。秋庭さんがここで書いている2つの道路計画は、地下のものだとは一言も書いていないし、そういう史実はない。秋庭さんが、地下自動車道ではないかと仮説を立てているだけだ。2つの道路計画を、「地下ではないか」と書くのは自由だが、「戦前にもあった」という表現は、間違っている。

59 関東大震災級の地震に地下鉄は耐えられる?

意味不明である。リーダーになれって…、運転手や車掌を差し置いて、勝手にリーダーしちゃあかんよ。ブルースウイルスじゃないんだから。

60 東京ドームの地下にある競輪バンクの謎

ただし、東京ドームを建設する前から、すでに地下空間があったとすれば、これをなんらかの形で再利用しなければならなくなり、使用頻度は少ないことを承知で競輪バンクをつくったというのもうなずける。(P142)

全然うなずけないじゃん。もしも、東京ドームの下に地下空間があって、それをどうしても再利用したいなら、使用頻度が低い競輪バンクより、地下街やレジャー施設をつくると思うけど。わざわざ東京ドームに競輪バンクを用意したのは、まさに、競輪をやりたいからに他ならない。

秋庭さんは、自分でちゃんと書いているじゃないか。

休止だって。

後楽園競輪は、廃止されたんじゃない。「休止」なんだ。

東京ドームができる前、そこには何があった? 競輪バンクではなかったよね。後楽園プールがあったんだ。でも、後楽園プールには、休止された競輪バンクがそのまま残されていて、利用客がそこで寝そべったりして、海の砂浜みたいにバンクを利用していたのを覚えている人はいるだろうか。

つまり、プールだった頃にも、廃止されることなく、バンクは存在した。

そして、後楽園プールの跡地に、今度は東京ドームを建てた。当然、そこにも、休止された競輪バンクが存在しても、全然おかしくない。

競輪バンクは、組み立て式でドームの床下に眠っている。秋庭さんは、東京ドームにある競輪バンクは、そのまんま楕円形で残っていると勘違いしていた。最初に、『帝都東京・地下の謎86』でこの件を書いたとき、「東京ドームのグラウンドの下には、競輪のバンクが完成している」と表現した。実際には、バラバラに収納されているから、競輪のたびに組み立てなければならない。勘違いしていたのだ。

つまり、競輪バンクと地下の秘密は、全然関係ない。

61 東大の敷地内にある地下鉄出入り口の謎

東大方面の出口は1番だが、こちらは改札から地上出口まで300メートルくらいあるだろう。(P145)

こちらをご覧いただきたい。

061205_13370001 南北線東大前駅の改札口の前から、1番出口方面を写したものである。突き当たりの壁を左に曲がると、地上への階段がある。ここから突き当たりの壁まで、100メートルくらいだろうか。300メートルもあるとは、とても思えない。階段は、エスカレーターを2つ乗り継ぐだけで、最近多い地下深くの駅と比べると、はるかに地上に近い駅だということが分かる。

では、秋庭さんが言う300メートルとは、どこをどう測ったのだろうか。おそらく、この駅のコンコースの全長が300メートルあるかないかという規模の駅である。駅としては、極めて一般的な構造である。秋庭さんの遠近両用メガネは、度が狂っているのかもしれない。

ちなみに、改札口の目の前には、地上へ出るエレベーターも用意してあり、実に便利な駅である。

300メートルもある地下通路なんてないぞって記事

67 豊洲駅と住吉駅にある謎の「未使用ホーム」

延伸計画が頓挫している証しともいえるだろう。(P155)

勝手に頓挫させないこと。

70 なぜ「帝都営団地下鉄」は「東京地下鉄」に変わった?

結局、なぜ変わったのか書いていない。

71 地下鉄のトンネルの掘り方を一目で見破る方法とは?

地下鉄駅のホームから、線路の敷かれたトンネルを覗いてみれば、その地下鉄がどの工法でつくられたものか、わかるはずだ。(P165)

まあ、そりゃそうだわな。ってか、見破ってどうする?

73 池袋〜渋谷、明治通りの真下を通る最新路線の謎

で、何が謎なの?

74 地下鉄の安全を脅かすものとは?

警官が誤射したのは、地下鉄の安全とは関係ないでしょ。地上でも起きる。地下鉄の安全を脅かすものは、そうやって恐怖や不安を煽り、パニックに陥れるオカルト本だと思う。


(関連記事)

東京の地下鉄は戦前にすでに作られていたという噂は本当か?

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『写真と地図で読む!帝都東京・地下の秘密』(洋泉社MOOK)を読んでみた。

『大東京の地下99の謎』(秋庭俊著、二見文庫)を読む

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