受験勉強の原動力は、年上の女の子だった。
高校3年生のとき、某大手予備校の現役コースに通っていた。良い大学に行こうなんて思っていなかった。むしろ、大学よりもやりたいことがあった。が、オイラの両親は、そういう話が通じる人ではなかった。
4月に受けた模擬試験の偏差値は、37だった。偏差値に40以下があるとは、素朴な感動を覚えた。
その大手予備校では、なぜか高校の世界史の先生が、日本史を教えていた。クラスは、京大コースだった。オイラは、受験では世界史を選択していた。ある日、先生が、その某大手予備校で教えていると聞いて、夕方からの講義の前に、講師控え室に遊びに行った。
夕陽で赤く染まる講師控え室に、先生の姿があった。彼の横には、腰まで長い黒髪のある女の子がいた。
オイラは、彼女に一目惚れしてしまった。
彼女は、京大を目指す浪人生だった。日本史を教える先生のところに、論文の添削をしてもらいに来ていたのだ。
それ以来、オイラは、毎週同じ曜日の夕方、その某大手予備校の講師控え室に、先生に会うという名目で、彼女に会いに通った。
夏休みや冬休みには、彼女の姿を追って、予備校の自習室に通った。夏期講習、冬期講習では、京大の関連講座を受けた。
もう一度繰り返すが、オイラは偏差値37である。
模擬試験では、意味もなく第1志望は京大文学部にしていた。
もちろん、冗談ではなく、実際に京大の願書を提出した。高校3年生になって、文系に絞っていたから、数学も理科も、さっぱり勉強していなかったが、共通一次試験も受けることになった。
同じ大学に合格して、同じキャンパスに通い、運命の出会いをして、告白しよう。
そんな、アホみたいな夢物語を描いて、オイラは、かつてないほどの猛勉強をした。
もう一度繰り返すが、オイラは偏差値37である。
模擬試験では、第1志望は京大文学部である。合格確率はE、25%以下だった。
共通一次試験(今ではセンター試験かな)を受けたが、さっぱりだった。京大の願書は出したが、足切りで、試験を受けることすらできなかった。
オイラの話はこれで終わりである。
終わり?(@_@)
そうなのである。オイラの恋愛は、ストーカー状態で終わってしまったのである。夢物語では、オイラは、京大のキャンバスで告白、という予定だったので、それ以前に玉砕したのである。
その後の話を少し。
彼女は、京大には合格できず、名古屋市内の私立大学に合格し、通ったらしい。本人は2浪してでもと思ったようだが、親が許さなかったみたいだ。
オイラは、現役時代、たった1つの大学にすら合格できず、浪人生活に入った。1年後、京都にある某私立大学に合格し、通った。偏差値37だったオイラには、もったいないくらいハイレベルな大学だった。女目当てだったにせよ、オイラは毎日予備校に通い詰め、バリバリの京大レベルの勉強をこなした。結果的にオイラは、京大とは言わないまでも、それなりの学力が身に付いたらしい。
彼女の、メガネの奥のまん丸い、きれいな瞳、長い、長い黒髪、清楚なファッション、真っ白な肌…。
今も、刻銘に記憶に残っている。
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